ライムに基づく音韻分析
田端 敏幸
本発表ではアメリカ英語の "T-voicing" と呼ばれている現象を (1) ~ (3) のような手順で考察し,Selkirk や Kahn の分析とは異なる提案をした。
(1) 弱化環境: /t/ の弱化は韻脚(Σ)を適用領域としておこなわれる。
(2) 音節構造: 弱化した /t/ は右隣りのライムに付加要素(韻律上は弱要素)として編入され,わたり音としての性質を帯びる。
(3) 音声ハイエラーキ: /t/ の弱化がさらに進んだケースとして[bʌ́ʔṇ]のようなものがあるが,これは韻律構造と子音のハイエラーキの整合性を保つためのプロセスである。