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日常会話における情報と伝達手段のメカニズムに関するモデル

東山 安子

日常会話におけるコミュニケーションがどのように行われているかを,言語と非言語を統一した視点から公平に捉えたモデルを提示して,明らかにすることを目差す。下記の会話モデルでは,特に次の三点を明示することを目的とした: 1)どんな情報が,2)どのような伝達手段によって,3)どのように伝えられ,それがどのように受け取られるか。

<結果> 上記三点に関する結果は次の通りである。
1)情報:次の三群六種類の情報が交わされる―A群・会話の中心的情報: a)内容情報(意見や事実など実質的な話の内容),b)感情情報(話の内容に伴う感情)/B群・話の内容や話し方を設定するための情報: c)親疎情報(相手への親密度),d)上下情報(相手への尊敬度),e)外見情報(性格・体格・健康状態)/C群・会話の進行中に発言権の移行に関してかわされる情報:f)やりとり情報。
2)伝達手段:六種類の情報はすべて言語的・非言語的伝達手段(身振り・顔の表情等)の両方によって伝達されているが,その中でも各々の伝達手段がその伝達を得意とする情報は次の通り:言語的伝達手段は内容情報,非言語的伝達手段は感情情報と外見情報。
3)話し手の情報の出し方: a)面接等のフォーマルな状態では,意識的に言語・非言語を使う,b)意識的に使った言語では平静を装い仮面を被っても,つい涙をこぼす等無意識に使った非言語で本音が出る,c)着なれない背広を着て意識的に非言語を使っても,言葉づかいが乱れる等無意識に使った言語に普段の姿がでてしまう。d)リラックスした状態では,無意識に言語・非言語を使う。
聞き手の受け取り方: c)の場合を除く殆どの場合,話し手の出す言語と非言語の内容が異なるときは,コントロールしにくい非言語に本音がでることが多いので,聞き手は非言語によって伝達される情報をもとに話し手の意図や情報の真・偽を判断する。

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