日本語/English
日本言語学会について
入会・各種手続き等
学会誌『言語研究』
研究大会について
学会の諸活動
その他関連情報
トップ  >  研究大会について  >  過去の大会一覧  >  過去の大会プログラム  >  第51回~第100回  >  アブストラクト(第88回~第100回)  >  第89回  >  口頭研究発表要旨:荻野,井出,川崎,生田

日本人とアメリカ人に見られる敬語行動の差異

荻野 綱男
井出 祥子
川崎 晶子
生田 少子

我々のグループ(日米敬語行動研究会)では,トヨタ財団の研究助成を受けて,日米の敬語行動の比較を目的として,調査・研究を続けてきた。その結果得られた知見の一部を報告する。
調査方法は次の通りである。日米の大学生各500名を対象に,アンケート調査(意識調査)を行った。アンケートは3部分に分れる。Part 1 では約20種の依頼表現の丁寧度を1から5の目盛 (PD) の上に位置づけてもらった。Part 2 では約20種の人物に対する丁寧度を,同じく1から5の目盛 (PD) の上に位置づけてもらった。そしてPart 3 では各人物に対してどんな表現を使うかという使用意識をたずねた。
その結果,日米の差異として最もはっきり出てきたことは,アンケートの Part 3 の分析によると,話し相手による敬語表現の使い分けが日本は「クッキリ型」(話し相手によって敬語を使い分ける型),アメリカは「ボンヤリ型」(話し相手によって敬語を使い分けることが少ない型)になるということであった。このことはアンケートの Part 1 で各表現の丁寧度をたずねた場合でも同じであった。日本では各表現の丁寧度はインフォーマントによって変わることが少なく,だいたい似たような答が得られるのに対し,アメリカではインフォーマントによって丁寧度がずいぶん違ってとらえられていた。 また,Part 2 で各人物に対する丁寧度をたずねた場合でも,日本ではだいたい一致する判定がなされたのだが,アメリカではインフォーマントの個人差が大きく出てきた。 Part 3 の日本=クッキリ型・アメリカ=ボンヤリ型の原因について,いろいろ追求してみたが,現在までのところ,アメリカ側に併答が多いことが影響を与えていることがわかっている。 また,Part 1 ・ Part 2 のような丁寧度意識をたずねる方法と,Part 3のように言語表現の使用意識をたずねることの意味についても検討した。

プリンタ用画面

このページの先頭へ