第144回大会(2012年春季,東京外国語大学)の発表賞(4件)

・儀利古幹雄氏
「町名のアクセント:アクセントの平板化と言語内的要因」

日本語の「町」を含む複合名詞のアクセントが、前部要素のモーラ長や音節構造によって決定されることを明らかにした研究である。周到に準備された調査を行うことで主張を計量的に裏付けた点、パワーポイント・発表の仕方・質疑応答がいずれも的確で聴衆の理解を大いに助けていた点が得に優れており、賞にふさわしい発表である。
・青井隼人氏
「宮古における「中舌母音」の音韻解釈」

宮古方言の「中舌母音」の音韻的解釈について、先行研究を批判しながら理論・歴史・通言語的観点から考察した研究である。「中舌母音」が音韻的には非円唇奥舌挟母音として解釈できるという主張にはオリジナリティがある上、発表も適切な時間配分のもとで聞き手の理解を助ける工夫をした優れたものであった。
・大滝靖司氏
「父称Mac-/Mc-で始まる姓の借用語における促音化:つづり字と音節構造」

借用語における促音化という難しい問題に対し独創的な視点から調査を行うことにより、原語の重子音つづり字が生起要因として大きな役割を果たしていることを明らかにした研究である。予稿集の内容・形式、発表それ自体もよくまとまっており、発表の仕方や質疑応答も優れていた。

・木山幸子氏・玉岡賀津雄氏・リヌス フェアドンスコット氏
「終助詞の感受性に関する個人差:対人調整能力と性別の影響」

終助詞「よ/ね」の適切性判断の聴覚提示実験を行い、これに「自閉症スペクトラム指数」で想定した対人調整能力と性差が影響するかを検討した研究である。終助詞の感受性は女性のほうが強いこと、および日常生活で注意の切り替えがスムーズにできる能力と関わることが示唆されるとした。練り上げられた実験計画に基づく研究であり、発表の仕方も優れていた。


授賞式(第145回大会,11/25,九州大学)