第146回大会(2013年春季,茨城大学)の発表賞(4件)
・梅谷博之氏
「モンゴル語におけるpreverbと動詞との間の結合度」
モンゴル語研究においてこれまでほとんど扱われることのなかった問題に着目し、その現象のみの解釈に終始することなく、モンゴル語文法全体の中で捉えようとする意欲的な研究である。論旨も明快で発表の仕方も優れていた。
・倉部慶太氏
「ジンポー語における成節鼻音の声調について」
ジンポー語に観察される成節鼻音の声調を音韻論的視点から分析しようとする研究で、音声的に出現する三種類の声調が音韻的には二種類の声調素に還元できることを示した。論旨は明快であり、質疑に対する応答も的確であった。
・野村純也氏
「Licensing Null Associative Plurals in Kaqchikel」
カケチケル語の項の複数読みの可能性が動詞の複数素性との構造的な一致によることを、統語理論の発展にもつながる形でわかりやすく提示した。記述と理論のバランスがとれており、質疑応答も適切であった。
・安永大地氏・矢野雅貴氏・小泉政利氏・八杉佳穗氏
「カクチケル語の基本語順と選好語順の関係について」
語順の自由度が高いカクチケル語について、SVOではなくVOSが基本語順であることを 脳波計測によるERPを指標として検証した。研究課題と結論、論証方法のいずれも明確で分かりやすく、発表の仕方も優れていた。
授賞式(第147回大会,11/24,神戸市外国語大学)