韓国語には -ney, -kwun, -ci, -lkay, -llay といった話者の主観的態度を表す接辞が存在する.一方,日本語には,類似した機能を持つ「ね,よ,わ,ぞ,ぜ」といった終助詞と呼ばれる品詞が存在する.
本研究では,韓国語の接辞 -ney を取り挙げ,これまであまり研究の対象とされてこなかった,-ney と他の文法形式との共起関係や会話における機能を,会話資料を基に分析した.その結果,(I) 話者が -ney を用いて発語した話題は聞き手によって持続されにくいという特徴があること,(II) -ney の本質的な機能は「話者が感じ,思っていることを聞き手に伝えること」であること,の二点が明らかになった.さらに (I) の特徴は,終助詞「ね」に関して提案されている「現行発話の付加に伴う先行状況の変更を示唆しない」(山森 1997)という機能と類似していることを指摘した.