Unetani (1991) で,Williams (1980) の仮説に基づき,日本語の修飾関係を分析し,Adjunct (XP) の出現環境として,NP 下位と VP 下位の二種類の出現環境を予測し,修飾関係の成立は Mutual c-command により制約されることを論じた.
XP としては NP, AP, VP が可能性として考えられるが,日本語のデータでは,VP 下位に位置するものとしてみえる構文の「動詞+て」は観察できたが,それに対応する連体修飾 VP のデータが一見欠けているようにみえた.
本発表では,状態を表す「動詞+た」表現が連用修飾「動詞+て」に対応するものと仮定し,動詞との外項制限から,「動詞+た」状態表現の構造は S (=CP) ではなく VP であると主張し,「た」は不定接辞であることを論じる.