日本語の補助動詞「しまう」の意味を,「~して決着(区切り)がつく」というように考える.「~てしまう」は,動作・作用の過程の,客観的に指摘できるある部分を表す形式ではなく,単に「決着がつく」と述べるにすぎないのであるから,その解釈は文脈に依存するところが大きい.
話し手が事態成立に関してコントロール可能である文脈では,「~することによって決着をつける」「~して決着し,その事実は動かすことができない」という意味になり,話し手のコントロールが不可能である文脈では,「話し手の思惑とは無関係に,~して決着がつく」という意味になる.
「決着する」ということの解釈をめぐって様々な用法が生じ,それゆえ,アスペクト的なものを表すように見えたり,話し手の感情を表すように見えたりするのである.