Phonological Opacity は,派生モデルの枠組においては中間派生(形)に言及する規則の順序づけ (rule-ordering) により説明される.従って,中間派生への言及を認めないとする表示モデルの標準的な最適性理論 (Optimality Theory) の枠組みでは,Opacity の新たな説明ほうが必要となる.
本研究では,Plains Crre(Algoniquian 語族)で観察される Local Palatalization (LP) を例に,Opacity の中でも Counterfeeding opacity について考察した.LP における当該の Counterfeeding opacity の機能的な存在理由は,表層では完全に中和してしまう2つの母音の深層における contrast の『復元 (recoverability) = 出現 (emergence)』にあると主張した上で,Constraint Conjunction のメカニズムを援用した最適性理論的解決ほうを提示した.