本発表では,貴界島方言の条件文,順接文,逆接文を取り上げ,従属節の動詞形と主節の動詞形の共起制限を考察した.条件文においては,従属節の動詞が未然仮定形のとき,已然仮定形に比べて,主節に来ることができる動詞形が肯定命令形,否定命令形,意志勧誘形,勧誘疑問形,単純疑問形に限られており,それ以外の動同形はほとんど使えない.已然仮定形にそのような制限はない.理由文においても,従属節の動詞形が尾略形 -so: の場合は,条件文の未然仮定形のときと同じ共起制限があるが,連体形 -nganji の場合にはそのような制限はない.逆接文の場合,従属節の動詞形が連体形 -muNnji のときは,上の二例とは異なり,肯定命令形,否定命令形,意志勧誘形,勧誘疑問形のほうが主節に来られないという制限がある.従属節の動詞形が,連体形(尾略形)-nga あるいは,連体形 -muNzjanga の場合にはそのような制限はない.