本研究では日本語の文章における「中核文」という言語単位を規定した.これは「文段」を統括する一文で,意味的指標と形態的指標から客観的に認定され,「顕在型」(原文中から一文で取り出す)と「潜在型」(原文中の連続・非連続の二文以上の内容をまとめる)とを認めるが,日本語の文章では後者が多い.
さて,「意味的指標」となる general/non-general (specific) という意味レベルの差は,関連表現の相互関係から理解され,高次のレベルとなる表現が文段の統括や中核文の認定に関わる.こういった関係を作るテクスト無いでの意味の「近接性」は,
換喩 = 事実・現実的世界の隣接関係(事実的・モノ的)含 pars pro toto
提喩 = 概念・相対的世界の上位下位関係(意味的・コト的)
といった性質を持ち,これらは帯状の体系を成して存在すると考えられる.一方「類似性」は意味レベルの差を持たず,文段の結束性に働きかける性質が強い.