一般に「그래서」は,「X,그래서,Y」のように用いられ原因・理由を表わす接続詞として機能する.しかし,談話マーカーとして用いられる「그래서」は,文法的カテゴリでは説明できない談話上の機能や用法を持っており,それを十分に説明するための新たな概念が必要である.
本研究では,「그래서」の談話上の機能や用法を face 行為の視点から分析し,次の結果を得た.(1)「그래서」は,相手の face を脅かす機能を持つ談話マーカーであるので,公的な場面や社会関係が上位の者には用いることができない.(2)「그래서」は,自分を FTA する要素が話し手の発話に含まれている場合,それに反発するために用いられ,anti-FTA マーカーとして機能する.(3)「그래서」に続く発話が,「그래서」の持つ face-threatening 機能を補足するために引き出される場合,positive な機能を果たす場合と neutral な機能を果たす場合がある.