The Status of Head-Internal Relative Clauses in Japanse

本田 謙介(獨協大大学院)

Kuroda (1974, 77) 以来,(1) のような日本語の主要部内在型関係節(内在節)の研究が盛んになりこれまで多くの成果が得られた.
(1) 太郎は,[リンゴがテーブルの上にあるの]を食べた.
本発表では三原 (1994), Murasugi (1994) に従い,内在節は(ゼロの主要部を持つ)関係節ではなく副詞的な付加節であるという分析を採る.副詞節分析で与えられた構造は Keenan (1985) が典型的な correlative construction (CC) として挙げた構造と類似していることを指摘し「内在節は CC の一形態である」と主張した.このような観点から諸言語(古典語も含む)を分析し直すと (a) 現代日本語の内在節と外在節は古典語の内在節を通じて関連があり,(b) ドイツ語・英語・日本語は関係節の発展の過程において共通の段階を経ているという分析が可能となることを示した.

本発表は諸言語及び古典語の関係節を今までとは違った角度から関連させることにもなり,関係節の本質の解明に大きく貢献すると思われる.