様々なテイル(テアル)構文を,中心的な存在構文に基づく「放射状カテゴリー」をなす文法構文と捉えることによって,有機的な統一的説明を与えることができる.中心的存在構文とテイル(テアル)構文が連続していることは,本来の存在的意味が強く現れる「Y ニ X ガ V テイル」という中間型が存在することに根拠づけられる.「結果存在型」は客体的な参照点を経て,出来事を想起するという認知のあり方を示す.「パーフェクト」への発展は,発話主体が参照点と一致し,出来事を積極的に位置づけるという主体化 (subjectification) によって説明できる.「関連性」は,「存在とは位置づけられることである」という関係的把握の継承である.「広義存在構文」や「心理動詞」のテイルは,アスペクト的意味では説明できず,「眼前描写」「報告性」「対象化」といった存在構文の発話機能の継承だと考えるとうまく説明できる.