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水海道方言における経験者格の主語特性

佐々木 冠(日本学術振興会)

水海道方言の経験者格名詞句 (NP-ngani)は,心理述語文の経験者や可能構文の経験者を表す名詞句である.NP-ngani は,次の点で主格名詞句と共通する振る舞いをする.1) 動詞文に必須の要素,2) 対格名詞句を認可する要素,3) 再帰代名詞の先行詞,4) nagara 節の主語の制御項.また,受動化や使役化といった格交代現象においても主格名詞句と同様に振る舞う.仮に他動詞文の主格動作主名詞句を主語の典型,対格対象名詞句を目的語の典型とし,それぞれが排他的に帯びている統語的特性を主語特性,目的語特性とすると,NP-ngani は,主格名詞句と主語特性を共有していることになる.NP-ngani は間接主語と見なすことができる.一方,この方言の与格名詞句 (NP-nge) は,対格名詞句と目的語特性を共有しており,間接目的語と見なし得る.この方言の格体系は,斜格の担う文法関係が形態に反映される体系になっている.

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