ショナ語4方言における再帰接辞のアクセント

湯川 恭敏(東京大)

ジンバブエの国語の一つ,ショナ語においては,方言毎に対格接辞(動詞語幹直前にあらわれうる)はすべてアクセント的に一様であるが,その一種である再帰接辞については方言差がある.マニカ語では,一般の対格接辞は環境によって高なったり低くなったりするが,再帰接辞は常に高く,あとの語幹+語尾のアクセントを XCV́(Xは任意の音素列)にする.カランガ語では,一般の対格接辞は環境によって高くなったり低くなったりし,再帰接辞は,自らの高さは一般の対格接辞と同じだが,語幹+語尾のアクセントを XCV́ にする.ンダウ語では,一般の対格接辞は常に高く,再帰接辞も,自らは常に高いが,語幹+語尾のアクセントを CVX́CV にする.そして,ブジャ語では,一般の対格接辞は環境によって高くなったり低くなったりするが,再帰接辞もそれに等しく,続く語幹+語尾のアクセントも同じである.