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言語処理における節境界決定の曖昧性: 要素の長さの影響についての検討

広瀬 友紀(ニューヨーク市立大大学院)
筧 一彦(名古屋大)

本研究では2種類の関係節構造の処理の困難性の要因を検討する.
(1) 老人が[捨て子をあちこち探した牧師]に会った.(主語再分析)
(2) 老人が捨て子を[あちこち探した牧師]に託した.(主語/目的語再分析)

一般に (2) は (1) に比べ処理コストが高いと予測されているが,これらの文の理解困難の度合を被験者に7段階で評定させた結果,従来の予測に反し (1) のような主語再分析文の方が困難の度合が高いことを示した.次に主節主語の部分の語数の効果に注目し下のような不完全文を用い文完成課題を被験者に行わせた.
(3) 佐藤が薬物をなんとか見つけ出した研究者にすぐさま(   )
(4) 佐藤と原田が[同上]

その結果 (3) のように主節主語が一語からなる場合に比べ (4) のように2語からなる場合は,従来の予測通り主語再分析構造が選択される傾向が強いことが分かった.そこで文頭から2語めの区切りに節境界がおかれやすい点を潜在的韻律効果によって説明が可能であることを示した.

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