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聖書における韓国語と日本語の比較研究
―呼称とスピーチレベルの使用法を中心に―

申 恵環(西江大)

本研究は,韓国語と日本語の待遇表現の性質を,二人称代名詞を含む呼称とスピーチレベル(文末表現)を中心に比較考察したものである.題材としては,ヨハネ福音書の韓国語訳と日本語訳を取り扱う.韓国語版ではイエスはどの場合でも,誰に対しても待遇度の低い二人称代名詞の「neo」とスピーチレベルの「-nya」を用いている. しかしイエスに対して二人称の代名詞を用いるのは,イエスに挑戦するユダヤ人や,相手がイエスであることを知らなかったサマリアの女とイエスを訊問する総督官のみである.一方日本語版では上下間(イエスと他の人々の間)や,同位の間で「あなた」が相互に用いられ,またイエスに対しては,場の性格に基づいて「おまえ」と「あなた」の両代名詞が用いられる.このように韓国語ではステータス及び年齢の上下関係と,場における上下関係が敬語使用の基準になっており,一貫して絶対敬語的性質を持つと言える.一方日本語には,話し手と聞き手の間の遠慮を示すよそ行きの丁寧表現,場の性格の認識に基づく言語表現の使い分けなどにおいて,相対敬語的性質が表れている.

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