do-support 現象は現代英語に特有のものとして議論されるのが一般的であるが,これに対して,Bouchard (1995) は次のようなフランス語の faire を faire-support で挿入された dummy 要素と位置付け,従来の一般的見方を否定している. (1) Il aboyait comme font les chiens.
本発表は Bouchard のこの観察に関連して,主に次のようなことを主張する.
(2) a. faire には本動詞用法しかなく,Bouchard が (1) にあげた faire (font) は dummy 要素ではない.
b. (1) の faire が dummy 要素でないからといって,Bouchard の do-support に普遍性を認める見解が誤りだとはいえない.