本研究では,スペイン語語強勢の分布とその例外について,「語彙層化」に基づく考察を行い,次のことを主張した.(1) スペイン語の語強勢の分布は語彙層によって異なっており,一見例外的に見える外来語の強勢は外来語語彙層における変異として捉えることができる.(2) 語彙層による強勢の分布の違いを「レキシコンの核・周辺構造」(Itô and Mester 1995a, b,1999) で捉えることにより,スペイン語語強勢付与に見られる一般的性質と外来語語彙層における変異の範囲を正しく記述することが可能となる.また,本研究ではスペイン語の核・周縁構造について最適性理論による分析を行い,スペイン語における語彙層による強勢の分布の違いは語彙層指定を持つ忠実性制約のランキングの違いとして説明できることを示した.