有生物を数える助数詞「人」「羽」「頭」「匹」の用法の記述を中心に,日本語ではどのように有生物と無生物を捉えているかを,新聞記事・見出しのデータを参考に考察した.
数えられる対象が有生物か無生物であるかの助数詞選定は,生物学的な分類に必ずしも従っているのではなく,話者がその有生物をどのように捉えるかによっても揺れが生じる余地が大きくあることが明らかになった.例えば,人間の遺体の身元が判明していない場合は「人」の受容度が落ちること,非人間有生物が人間にとって有意な存在である場合,サイズに関係なく「頭」の適用が可能になることは,数える対象をどのように捉えているかを反映している例であると言える.更に,本発表では無生物でありながら有生物助数詞が付与される例について検討し,有生性の度合いが強い物体や,キャラクターやロボット犬といった有生物的な振る舞い等が著しい非生物の助数詞の選定についても考察した.