オリヤ語の助辞 bi は,日本語の「も」にやや似た用法の広がりを持つ.本発表は,この単語について,諸用法を記録し,基本的な意味は「文の記述する事態においてこの助辞の付いた表現の概念に到達するために,注意の領域を拡大せよ」と記述できると論ずる.この助辞は,それの付いた表現(句や節)の表す概念が文の表現する事態の実現または構想に参加しにくいことを表す.このほか,関係代名詞に付いて全量または存在を表す.数量を表す表現に付いて全量を表し,全量を表す表現に付いて全量であることを強調する.存在を表す不定表現について指示対象物が直接的知覚できる領域の外にあることを表す.これら諸用法における解釈は,上述の意味の様々な現れ方である.この助辞の意味的内容は,それの付く表現の概念(またはその概念の意図される解釈)に到達するために必要な心的操作についての指定である.真理条件上で述べられる含意が存在することの表示ではない.