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現代中国語の受動表現

陳 暁程(東京大大学院)

本発表では「受動者 受動の印 動作者 動詞 (補語)」の構造を持つ受動文を,対応する能動文の構造,「被害・迷惑」を表す時の感受者,動詞に含まれる結果含意度と補語の関係などの面から観察し,以下の三つのことを提案した.

一,受動文が対応する能動文は「SVO」構文ではなく,「把」構文である.

中国語では,他動詞文には,所謂普通の他動詞文,即ち,「SVO」構文と「把」構文がある.しかし,受動文が対応する能動文として,「SVO」構文より「把」構文の方が遥かに自然である.受動文と能動文の対応関係は次のように示した:

図

二,主語が有生物か無生物かによって「被害・迷惑」の感受者が異なる

受動文の主語が人間または動物の場合,主語自身が害・迷惑を受ける.主語が無生物の場合,無生物は感覚がないので,被害・迷惑を感じるとは考え難い.害・迷惑を受けるのは,所有者をはじめ,その主語から利益を受ける人間である.

三,動詞が補語に対する要求度とその動詞に含まれる結果含意度とは反比例する

動詞の意味によって,受動文に用いられる動詞を,「杀」(殺す),「刺」(剌す),「摸」(触る)で代表される三つの段階に分類し,動詞が表す変化・影響の度合いが強いほど,補語の要求度が低く,遂に,変化・影響の度合いが弱いほど,補語の要求度が強いということを述べた.

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