Abe & Hoshi (1999) は,先行詞内削除 (ACD) 構文に対して,外置や重名詞句転位などの右方移動 (rightward movement) に基づく分析を提案する.この分析は,ACD 構文の多くの特徴に説明を与えることができるが,右方移動では(定形)節境界を越えることはないので,Ross (1967) の Right Roof Constraint との関連で,(1) の解釈が存在することは問題である.(1) Which student thinks that Bill visited the city that you do? [=Which student thinks that Bill visited the city that you think that Bill visited?]本発表では,Scope Economy に基づく Q R分析 (Fox 2000) と主要部 so と補部の関係を満たすための QR と連続循環的付加分析 (Gueron & May 1984) を仮定し,作用域表示 (scope marking) に誘発される QR と外置の連続循環的付加に基づく分析を提案し,(1) に示されている ACD 構文の局所性に説明を与えることができることを指摘した.