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複合動詞「過ぎる」の意味解釈について

井本 亮(筑波大大学院)

本発表は,「卵をゆで過ぎた」などにおける,複合動詞「~過ぎる」の後項「過ぎる」の意味解釈について,概念意味論の枠組みから,先行研究で提案された概念構造の問題点を指摘し,より説明力のある概念構造を提案した.Jackendoff (1996) の sp-binding と呼ばれる概念構造を採用することで,(1) V1 の意味だけでなく,対象物の数や動作に関わる移動距離・時間などにも解釈が及ぶ理由,(2) 解釈に事物・事象の複数性が関わる理由を説明し,(3) 二義的な解釈を持つ事例の解釈可能性を保証する形式を明示した.「過ぎる」の多様な意味解釈と「過剰」の意味の作用域は,sp-binding の同期的束縛構造,有界性の概念と解釈規則適用による整合化から説明される.そして,先行研究での一般化を反映し,「過ぎる」の意味解釈について理論的説明を与えた点において,本発表の提案する概念構造が先行研究の構造よりも優れていることを主張した.

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