本発表は Scrambling (Scr) と Quantifier Raising (QR) の局所性 (locality) に関して (1)(2) の疑問を挙げ,Scr と QR が普遍的に従う局所性条件(それぞれ (3)(4))を提出し両言語の統語構造と絡めて統語的な説明を与えた.
次の構造で X と Y を関与させることはできない.X... [α... Y ...] (α=finite TP).独語と日本語の Scr はともに (3) に従う同じ種類の移動現象だが統語構造の相違から長距離 Scr の言語間変異が生じることを示した.最後に Scr と虚辞との相補分布を指摘し Scr の本質について考察した.