本研究は副詞の移動性に注目し,副詞移動の制約の有無が意味的な特性と文の構成要素の相関関係のどちらに起因するものなのかについて考察したものである.
1) 「移動性の強い副詞」には,日韓両言語ともに述語の意味・属性を修飾せず,語彙的意味の独立性と文法的自立性が強い,「時間副詞」,「名詞性副詞」,「陳述副詞」などが挙げられる.
2) 「移動性の弱い副詞」には,述語がもっている意味を具体的に叙述・描写したり,制限・強調する「属性副詞」と「程度副詞」が挙げられる.「よう/잘」と「みな(皆)/다」は,述語との「近接性」が最も強いが,この傾向は韓国語の方がもっと強い.
3) 移動できない場合は,文の構造(連体修飾語が名詞を修飾する場合,埋め込み文の中の副詞である場合)または,成文要素間の修飾関係(感嘆詞・接続詞が現れる場合,程度副詞が状態副詞を修飾する場合,取り立て助詞「は/은」がある場合)による.