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動的ラレル文(受身)と静的ラレル文(自発・可能・尊敬)

荒籾 善成

松下 (1930) が示した利害[受身]ラレル文と可能ラレル文の差は,それぞれが三上 (1953) の能動詞文と所動詞文の語順をとっていることに起因していると考えられる.能動詞文に属するガニ構文「X ガ Y ニ V」は「ガ格項のニ格項への従属」(動的)を表し,ニガ構文(=所動詞文)「Y ニ X ガ V」は「ニ格項におけるガ格項の自然生起」(静的)を表す.本研究では (1) のような複文的構造をもつ受身ラレル文(能動詞を所動詞へと反転させた,被動作主の動作主への従属を表す文)がニガ構文へと組み替えられることによって静的ラレル文(自然生起=自発/可能)が派生していると分析する.
(1) X ガ Y ニ [(Y ガ) ヲ/ニ/(ニ対シテ)能動詞]+レル =〉X ガ Y ニ能動詞ラレル
・動的ラレル文: X ガ Y ニ能動詞ラレル〈受身〉
・静的ラレル文: Y ニ X ガ他動詞(ラ)レル〈自発/可能〉/[Y ガ(…)動詞]ラレル〈尊敬〉

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