本発表では,Takami and Kamio (1996) で提案された Characterization Condition for Subjectivization (CCS) をもとに,擬似二重主格構文の成立条件を考察し,その上で二番目の「が」格名詞句を関係節化した際に,この構文のあいだで観察される容認性の違いを説明することを試みた.擬似二重主格構文が容認可能と判断されるためには,上記の CCS を満たしている必要があると考えられるが,本発表では,それがどのような場合に満たされていると判断されるのかという点について考察を加えた.そして,二番目の「が」格名詞句を関係節化した場合に,擬似二重主格構文のあいだで観察される容認性の違いは,関係節の中で CCS が満たされていると判断されるかどうかの違いから生ずるものであると主張した.また,ここでの分析によって,擬似分裂文における擬似二重主格構文の振る舞いの違いも捉えることが可能であることを示唆した.