形容詞の語義判定に関する実験的調査

李在鎬
横森大輔
土屋智行

本発表では、形容詞の語義に対する実験的分析手法を提案した。調査においては4つの書き言葉コーパスから感情形容詞の使用例2934例を収集し、次の方法で調査を行った。1)各用例の語義レベルの特徴を3名の母語話者に判定してもらった。判定ではその用法が当該形容詞の基本義に属する用法なのか、拡張義に属する用法なのかを決定した。2)各用例の文脈的特徴を複数の変数でコーディングした。3)決定木学習を使い、文脈的特徴から語義を予測するタスクを行った。決定木学習では、1)を従属変数として、2)を独立変数として投入した。3パターンの変数の組み合わせで分析を行い、各変数が語義の予測に与える影響を検証した。その結果、形容詞の基本義と拡張義の決定には異なる要素が影響を与えていたこと、語義のカテゴリー化に関わる要因を階層化した結果、形容詞のタイプ情報、出現コーパス、活用形の順であったことが明らかになった。