ハワイ語における数詞文について

塩谷 亨(室蘭工業大)

本発表ではこれまで十分な記述がなされていなかったハワイ語の数詞文(数詞が述語の位置,すなわち文頭に来る文を便宜上こう呼ぶ)の分析を試みた.

数詞文のいろいろな例を比較対照した結果,意味的・構造的に異なる下記の二つのタイプに大別できることを示した.

存在文タイプ 典型的な構造: 数詞 (X) - 名詞 (Y) - 名詞を修飾する語句 (Z)
典型的な意味: Z で限定されるようなもの Y が X 個存在する
等位文タイプ 典型的な構造:数詞 (X) - 名詞 (Y) - 決定詞 - 名詞 (Z)
典型的な意味:Z の数値を Y という単位で表すとその値は X である

これらニタイプの数詞文をハワイ語の他の主要な文タイプ(動詞述語文と名詞述語文)と強調辞の挿入位置など,いくつかの点で比較対照した結果,数詞文の中には数詞がより決定詞的に用いられている場合と,より名詞・動詞的に用いられている場合の二つが考えられることを示した.