スウェーデン語の2重目的語構文の拡張

當野 能之(神戸大大学院)

現代スウェーデン語には英語に見られる2重目的語構文 ([NP1 V NP2 NP3]) に加えて,動詞と間接目的語の間に小辞 (particle) が来る構文 ([NP1 V PARTICLE NP2 NP3]) がある.本発表では,このタイプの構文が,意味的あるいはそれにかかる制約等の観点から,2重目的語構文を拡張した構文として位置付けられていることを主張した.それに加えて,以下の点も主張した.

(1) 2重目的語構文は「所有権の移動」という「空間概念(使役移動)」に基づいた構文である.
(2) 2重目的語構文の拡張のパターンは結果構文の拡張のパターンと強い相関関係を見せ,これが「原因-結果」型の構文(つまり CAUSE の関数を含む構文)における差異と関連している.