本論では,まず,Goldberg (1995) の提唱する「構文文法」によって動機付けられた SVOC 構文の代表的な諸構文を考察する.
具体的に (1) の例に代表される構文の意味が段階的に異なっていることを Patienthood テスト,Causative Paraphrase テスト,Telicity テスト,そして,補文の介入可能性のテストから示した.
(1) a. Mary wiped the table clean.
b. Mary considered the table clean.
c. Mary saw him upset.
そして,そのデータ結果による意味の段階的な異なりの要因として,それぞれの諸構文に Langacker (1990) が提唱する「主体化」の概念が関連していることを仮定する.普通,「主体化」とは,語彙の現象だけに用いられるが,構文においても用いることができると提案した.