付加詞の主語化に見る意味構造と統語構造のインターフェイス

谷脇 康子(関西学院大大学院)

付加詞的な要素が主語におかれる3つの構文,自然腐朽の状態変化他動詞文,自然発生の湧出他動詞文,背景主語構文をとりあげ,受動化のような統語的特性における相違は,主語の概念構造における資格の相違に基づくと主張した.述語の意味構造は動詞の意味を正しく記述するだけでなく,統語構造への mapping や構文の統語特性を予測するものでなければならない.そのための1つの試案として,語彙概念構造と特質構造を道具立てとして,動詞の意味に加え,項の意味,事象成立の前提・目的といった内容を取り込んだ,述語の概念構造のモデルを提案した.