ハンガリー語には,動詞に幾種かの派生接尾辞が付加されることで,自動詞や他動詞を派生させる.その一つに,再帰,中間接辞がある.これは,他動詞を自動詞にする,いわゆる他動性を下げる要素である.本発表では,再帰,中間接辞を使用した構文に,受動の意味が観察される例があることを示した.さらに,受動を含意する再帰,中間構文が意味的に他動性を下げる過程から発していることを主張した.
受動の意味を有する再帰,中間動詞に関しては,先行研究やハンガリー語の文法書においても指摘されてきた.しかしながら,受動の意味を持つ接辞の振る舞いや過程については詳しく述べられていなかった.本発表では,このタイプの再帰,中間構文が受動の含意を指し示す例を,他動性の観点から特徴づけ,説明を加えた.