本発表では,満州語文語の談話における接続表現がどのように異なるか,という問題を話し手の認知的視点を反映した連続スキャニング・一括スキャニングに基づく対立として分析した.連続スキャニングの geli, inu, kemuni は,先行文脈中あるいは話し手の意識内の情報を地とし,それに対応する同種の情報を図として話し手が言及する時に用いられる.他方,一括スキャニングの jai, hono は,先行情報と一体化した視点の中で,参照点に基づくターゲットとして累加的に情報を提起する時に用いられる.これは,認知的視点を適用して満州語文語の一特徴を明らかにする試みである.