本発表ではトルコ語の小辞 mi について考察し,従来疑問を表すマーカーとして説明されてきたこの小辞が文末だけでなく文中にも生起する現象を Word Grammar 理論を用いて説明を行った.分析の前提として,mi を1つの語彙項目としてとらえること,mi が常に直前の語に対して主要部であること,また文末でなく文中にある mi は,文末の定形の述語が支配していると認定することにより mi のあらわれる文の説明ができ,またいくつかの非適格な構文の説明も不連続構成素を排除する規則により説明できることを論じた.更に分析の拡張として,従来ほとんど言及されてこなかった仮定節のマーカー,形容詞などの強調の用法についても,語彙項目としての mi がもっている統語的な情報は一貫しており,この結果 mi の用法を越えた構文の一貫した説明が可能であることを主張した.