引用形式由来の形式「ッテ」によって終結する発話(「~ッテ.」と記す)の用法の概観,その用法を決定する条件の提示,様々な用法を示す理由についての考察を行った.まず,用法を決定する条件は「引用句(「~ッテ.」の「~」部)の発話が誰のものか」である.「~ッテ.」は引用句の元話者が,聞き手の場合は<意外性表示><問い返し>のいずれか,話し手自身の場合は<伝達><念押し>のいずれか,そして第三者の場合は<伝聞>として,それぞれ機能する.また,このような多様な用法を示すのは,各「~ッテ.」の引用句にどれだけ具体的な発話としての性格が残存しているかが関わっていることを指摘した.元話者が「聞き手→話し手→第三者」の順に,「~ッテ.」の引用句は発話としての性格を失っていく.その性格の喪失と共に,「~ッテ.」は用法を変える.そして最後に,本発表で得た知見は広く引用研究にも応用できることを示した.