本発表では,日本語に見られる多様な現象の内,比較的観察度が高いにも関わらず,研究される機会の少なかったPredicate Cleft Construction に焦点を当て,2つの同一形態の述部(動詞)の出現を許すというその特殊な派生において,述部の1つは統語的理由により,もう1つは統語外の理由により具現化されることを論じた.
また,日本語だけでなく,Vata, Fongbe, Buli の3つのアフリカの言語にも見られるこの構文の特徴を比較することで,本分析の中核を成す Predicate (Root) Nominalization が普遍文法に関与していると主張した.
さらに,この分析により,Predicate Cleft Construction だけでなく,日本語の Verb Focus Construction の派生も説明可能であることを示した.