本発表では、一般的に助詞の省略とされる「無助詞」現象を、主に韓国語の談話の実例を対象とし、統語・意味論的及び談話・語用論的アプローチを併用、実際の談話の中で見られる無助詞の積極的な機能の解明に焦点を当てた。
統語・意味論的な分析では助詞類の付く名詞句の性質、その文の動詞句の性質、助詞類の文内の位置、文のタイプなどに区別し、それぞれのカテゴリーの中で三つの助詞類がどのように振舞うのかを量的に比較・分析した。その結果、無助詞は談話の現場と関係のある名詞句に用いられやすいということが分かった。これを受け、談話・語用論的な分析では現場性のある名詞句と各助詞類との関係を中心にそれらが談話・語用論的なレベルでどのような意味・機能の違いを持つのかを実例を挙げながら調べた。結局韓国語の談話における無助詞の機能は「談話の現場に存在するあるものを指示(指差し)しながら‘現場から取り出して’述べること」であることを主張した。