日本語には「そして」を用いて述語を連結する(1)のような表現(述語等位接続構文)がある。
(1) 太郎がリンゴを食べ(そして)二郎がイチゴを食べた.
本発表では、はじめに(1)のような構文が等位接続構造であることを様々な言語現象で確認する。そして述語等位接続構文の被連結要素が、主格名詞句は含みうるのに対し時制要素は含み得ないことを指摘する。この事実を説明するために4つの異なる句構造分析を検討し、2つのvP が等位接続され、全体のvP がT の補部となっている(2)の構造が最も適切な(主格名詞句を含む)述語等位接続構文の分析であることを示す。
[vP [vP 主格名詞句(目的語)V-v](そして) [vP 主格名詞句(目的語)V-v]]T
この結果から、日本語には動詞のT 位置への繰り上げや主格名詞句のTP 指定部位置への繰り上げが起こっていない場合があると主張する。