現代グルジア語の補文標識romとtuの分布は、節の種類によって明確に区別できるわけではなく、どちらも現れることができる場合がある。そのような場合は、主節の述語が「思う」「知っている」などの動詞で、否定、または疑問、と形式的に規定することができるが、その背景にはtuの非事実(irrealis)の内容を表す機能がある。補文標識tuは、間接疑問節と導くほかに、話し手が知ったばかりの内容を表す補文を導く。また、主節の主語が話し手と一致しない場合には、話し手の心的態度だけではなく、主節の主語の心的態度も補文標識の選択に関与する。romやtuの分布は文レベルの分析では明らかにすることができず、談話のレベルで考察されねばならない。