本発表では，日英語の会話ナラティブ・ディスコースにおいて「連続的なイベント（sequential event）」の構築がどのようになされるのかについて検討した．本発表は連続的なイベント構築が可能となる要因には時の表示も関連すると想定した上で，これを語用論的な視点から考察し，会話ナラティブにおける日英語の時の表示の異なりと連続的なイベント構築の関連性を明らかにした．
量的分析から，日英語のナラティブ内において日本語は英語程時の表示がなされていないことが分かり，時の表示の代わりに日本語では節連結の「て」節が多用されていることを明らかにした．連続的なイベント構築は，英語では時制の表示が大きく関わるが，日本語では節連結の「て」節の使用が関わることを指摘した．イベント構築という機能面に着目した場合，日英語間では異なる文法要素によってそれが可能となり，異言語間のある文法現象は必ずしも同じように対応するのではないことを提案した．