英語におけるIn Scotland, what do they eat?のような前置付加部の現象を説明するために、本論では次の三条件を設定した。
(A)統語条件(主):前置付加部はIP に付加される。
(B)統語条件(副):前置付加部は移動した補部に先行する。
(C)音韻条件:前置付加部は(a)従属節を導く要素とともに音韻句を形成するか、または(b)コンマ音調で区切られる。
条件(A)が文法性を決定し、(B)(C)が補助的に働いて容認度を決定すると仮定する。条件(A)で文法的とされる文でも、(B)(C)両方に違反すればその文法性がキャンセルされて容認不可能となる。また、条件(A)で非文法的とされる文でも、(C)に違反しなければその非文法性がキャンセルされて容認される。
この体系によりHudson(2003)など先行研究よりも妥当な説明ができることを示した。