通常は、スコープというものはすべて(QPそのものがLFでIPに付加する)量化詞繰り上げ規則(QR)で決まると考えられていることが多い。しかし、その考え方では「NPサエ」のような表現が通常では許されない広いスコープを取ることが体系的に説明できない。本発表では、Kuroda 1965で提案されたattachment transformationをRooth1992, 1996の枠組みで捉えなおし、スコープを決定する文法メカニズムには、QRとattachment transformationの2種類があることを提案した。attachment transformationが適用すると、サエはIPに付加し、その移動後の構造に対する解釈メカニズムに従うと、一見例外に見える「サエ」と他のQPのスコープの相互関係が自動的に導かれることになる。