日本語数量詞の位置と意味

岩田 一成(大阪大学大学院)

 本発表では、日本語数量詞の2タイプ、(1)「ビールを2本飲んだ。」、(2)「2本のビールを飲んだ。」における位置と意味の関係を扱った。これらの2タイプについて多くの研究では (1) の方が意味的に無標であると指摘されている。しかし、実際の小説などを当たってみると (2) タイプはたくさん使われている。本発表では有標とされる (2) のタイプに焦点を当てて、その使用例について統一的な説明を行った。

 上の二つのタイプの違いは、「物事を連続的に把握するか一括的に把握するかの違いである」という仮説をもとに、(2) タイプの実例に説明を加えた。上の仮説では (2) タイプを一括的な把握で説明する。その際、以下の条件、「時間軸が背景化され瞬間的に把握が行われること」、「まとまりの範囲が明確になっていること」が関わっている。それらの条件を満たすような文脈が与えられていれば、(2) タイプが使用可能になるというのが本発表の主張である。