漢語北京方言における声調連声規則の適用領域
増田 正彦(九州大学大学院)
漢語北京方言を対象にして、声調連声現象が義務的に起こる領域 (Minimal rhythmic unit, MRU) の分布について、記述的一般化を行った。
先行研究では、1つの構成素をなす2つの形態統語的要素に MRU を設定する規則が仮定されていた。本発表では、語彙レベルにおいては、cyclicity を仮定しさえすれば、1つの構成素をなす2つの形態統語的要素を同定できるので、特別にそのような規則を仮定する必要がないことを示した。
また、先行研究では、音節が2つ1組の形で MRU にまとまるという規則が仮定されていた。本発表では、この規則の適用にあたって次のような制約が必要であることを確認した。すなわち、それらの音節に対応する 2 つの形態統語的要素の間にいかなるc-command関係も成り立たないとき、この規則は適用されない、という制約である。