本発表では、日本語の時間関係を表す従属節、具体的には、「前」「後」のように主節と従属節の時間的な継起関係を表す形式、および、「時」「間」のように主節と従属節の時間的な同時関係を表す形式を扱った。
継起関係の場合、従属節の形式として、テイル形を使用できないが、同時関係の場合には、そのような制限がない。このことを説明するために、継起関係には語彙的に「主節の従属節の時間が重複しない」という制限があり、同時関係には、そのような制限がないということを示した。また、主節に対する従属節のテンスは、継起関係の場合は相対的に決定されるが、同時関係の場合は、絶対的に決定されるということを実際の例に基づいて示した。さらに、この両関係の差異は、従属節の主節に対する従属度の差異によって説明されるということを主張した。