本研究では、同じ味刺激に対する評価の違いがどのようにオノマトペ表現に反映されるかについて、心理実験的手法により分析を行う。同じ味刺激についておいしいと感じる人とおいしくないと感じる人が、どのような種類のオノマトペで表現するのか、どのような意味的要素をもった音象徴を使用するのかについて検討する。
実験は、38名を被験者とし、炭酸飲料・コーヒー・チョコレートの3商品から3品目ずつ計9品目を実験刺激として行った。味や印象についてオノマトペを含む文章で自由回答させ、おいしいと感じた度合いを5段階SD法で評価させた。
その結果、味の評価に関係なく、人が味覚を表現する際は「香り」「食感・舌触り」「心的感覚」を表すオノマトペが用いられ、中でも「食感・舌触り」のオノマトペが多く使用されていた。オノマトペ音象徴については、味の評価との関係で有意差が見られ、3商品それぞれに特徴的な音象徴も確認された。