本論文では、等位接続構文の並行的解釈について、Winter (1995)およびGawron and Kehler (2003)が解決していない問題を示した。すなわち、これらの分析は副詞“respectively”が係る動詞が、項との関係において、関数適用における「関数」側であることを前提としているため、動詞が「引数」側となる場合、たとえば項に一般化量化子を含むような場合には、型不一致を起こすのである。
その上で、Winter (1995)によって導入された「直積型を用いる意味論」を更に発展させた分析を提示した。この分析では、圏論による「射の積」を含む二つの規則から、直積型の現れる関数適用の規則を派生する。また、副詞“respectively”の意味表示は、定義域が直積型であることを要求する恒等関数とし、上述の規則群とは独立である。この構成により、上述の問題が解決することを示す。